窓辺に差し込む柔らかな陽射し、そして部屋の片隅に佇む薪ストーブの燃える炎を見つめながら、ゆったりとした時間が流れる暮らし。
疲れた心と体を、薪ストーブの温もりが優しく包み込んでくれる。理想の生活が、今、目の前に広がろうとしています。
しかし、現実と理想は少し違うかもしれません。薪ストーブの暖かさと引き換えに、待ち受けるのは薪の準備、灰の処理、そして24時間体制での火の管理。
約5ヶ月間、休むことなく燃え続ける炎と共に過ごす生活。それは、決して楽なことばかりではないです。
それでも、薪ストーブとの暮らしは、きっとあなたに多くの喜びと発見をもたらしてくれるはずです。今回は、理想と現実のはざまで揺れ動く、薪ストーブのある生活のリアルな様子をお届けします。
薪ストーブの魅力、そしてその苦労、すべてを包み隠さずお伝えすることで、これから薪ストーブのある暮らしを始めようと考えている方、そして既に薪ストーブと共に生活している方の心に、少しでも響くものがあれば幸いです。
薪ストーブの選び方
私の住む地域は、冬の平均気温が-15℃前後と非常に寒く、雪も多く降ります。築40年以上の古い木造2階建ての我が家は、斜面に建っているため、建物の半分が地下に埋もれています。
そのため、道路から見るとまるで平屋のように見えます。
設置場所とサイズ、部屋の広さに合わせた機種を選ぶ
- 我が家は、ブレーズキングのプリンセスと言う機種を使ってます。このストーブの能力的には、約56坪位の家を温める能力があります。
我が家は、木造建築の家で、リビングに薪ストーブを設置しています。
煙突は二重構造で、ストーブの天板から煙突の先端までの高さは5.5メートルです。 - 総床面積は1階と地下で約50坪ですが、1階の部屋をこの薪ストーブで温め、地下の部屋を使用する時は、でエアコンで暖を取りますが、地下の室温はエアコンをつける前の室温は、16~19度くらいです。
- 薪ストーブやさんからは、このストーブは家に対してとて、大きすぎるから、他の小さな機種のほうが良いと進められましたが、燃焼効率と排出率(EPA承認済み)がとても優れていたのでこの機種にしました。
- 古民家の木造建築で、家の気密性も悪く冷気が外壁から内壁に冷気の熱伝導率を考慮したら、この薪ストーブが建坪数に対してオーバースペックであるとは思いませんでした。
- 家の建築構造や、気密性の高低により、薪ストーブの選定がカタログ数値よりも大きく異なることがあります。
薪ストーブの燃焼方式や、薪の燃え方と効率性の違い
非触媒燃焼方式
- 触媒を使わず、二次燃焼室や特殊な空気供給システムによって未燃焼ガスを再燃焼させます。
燃焼方法は、いくつかの種類があります。 - クリーンバーン燃焼 – 二次燃焼室で未燃焼ガスを再燃焼。
- リーンバーン燃焼 – 空気供給量を調整して高温燃焼を維持。
- ファイヤードーム燃焼 – 特殊な形状の燃焼室で高温燃焼を促進。
触媒燃焼方式
- 触媒と呼ばれる特殊なセラミックハニカム(特殊金属もあります)を使用し、未燃焼ガスを再燃焼させることで、高い燃焼効率とクリーンな排気を実現します。
- メリット – 高効率、クリーンな排気、長時間燃焼
- デメリット – 触媒の定期的な交換が必要、高価
- 我が家のストーブもこの方式です。
ハイブリッド燃焼方式
- 触媒燃焼と非触媒燃焼の両方の要素を組み合わせた方式です。
- 低温時には触媒燃焼で効率を高め、高温時には非触媒燃焼で高い火力を得ることができます
デザイン、 インテリアに調和するデザインを選ぶ
- オーソドックスなインテリア
シンプルで洗練されたデザインの薪ストーブがマッチします。ステンレスやガラスを多用したスタイリッシュなモデルがおすすめです。 - クラシックなインテリア
鋳物製の重厚感のある薪ストーブが似合います。アンティーク調のデザインや、装飾が施されたモデルも素敵です。 - カントリー調のインテリア
レンガや石材で囲まれた暖炉風のデザインがぴったりです。薪ストーブ本体も、レンガ調のデザインや、温かみのあるカラーのものがおすすめです。 - モダン調のインテリア
ソープストーンは、天然石の一種で、独特の質感と色合いを持ちます。そのため、ソープストーン製の薪ストーブは、インテリアのアクセントとして存在感を放ちます。
薪ストーブの魅力とメリット
心地よい暖かさ
- 体の芯から温まる遠赤外線効果
薪ストーブは、遠赤外線を多く放出するため、体の芯からじんわりと温めてくれます。
エアコンやファンヒーターのような対流熱とは異なり、直接肌に熱が伝わるため、冷えやすい足元や手先までポカポカになり暖かさが持続するでしょう。 - 部屋全体を均一に暖める
薪ストーブの熱は、部屋全体に広がり、ムラなく暖めてくれます。特に、吹き抜けのある家や、開放的な間取りの家では、その効果を実感できるでしょう。
他の暖房機器のように一部だけ温まるのではなく、家中どこでも快適に過ごせるようです。
シーリングファーンやサーキュレーションファーンで温かい空気を部屋全体に広げ効率をさらに上げると良いでしょう。 - 持続性の高い暖かさ
薪ストーブは、燃焼が終わった後も、本体や蓄熱性の高いレンガなどが熱を蓄え、ゆっくりと放熱し続けます。
そのため、他の暖房器具のようにスイッチを切った途端に寒くなるということはなく、長時間暖かさが持続しますが、ソープストーンなどのストーブはさらに暖かさが長続きするでしょう。
癒やしの炎
- 炎の揺らぎが心を落ち着かせる
薪ストーブの炎は、常に形を変えながら揺らめきます。その不規則な動きは、まるで生き物のようで、見ているだけで心を落ち着かせ、リラックスさせてくれます。
忙しい日常から離れ、炎の揺らぎに身を委ねる時間は、まさに至福のひとときです。 - パチパチという音が心地よい
薪が燃えるときの薪がハゼル音のパチパチは、自然の音であり、心を安らげる効果があるようです。
まるで焚き火を囲んでいるかのような感覚になり、日々のストレスから解放されるでしょう。
雨の音や波の音と同様に、1/fゆらぎを持つため、心地よさを感じやすいと言われています。 - 炎の温かさが心を満たす
薪ストーブの炎は、視覚的な癒しだけでなく、物理的な温かさも提供してくれます。
炎のそばにいると、まるで優しく包み込まれているような感覚になり、心が満たされます。
特に、寒い冬の日には、その温かさが心に染み渡り、幸福感をもたらしてくれるでしょう。
エコで経済的 – 再生可能なエネルギーを活用
- 再生可能なエネルギーを活用
薪は、森林から持続的に供給される再生可能なエネルギー源です。化石燃料とは異なり、燃焼しても大気中の二酸化炭素量を増やしません。
地球温暖化対策としても、薪ストーブは有効な選択肢と言えるでしょう。 - 光熱費の節約
薪ストーブは、灯油やガスなどの化石燃料を使用する暖房器具と比べて、ランニングコストを抑えることができます。
特に、山林を所有していたり、地域で間伐材などを安価に入手できる場合は、大幅な節約も可能です。 - 地域経済への貢献
地域で生産された薪を購入することで、地元の林業や薪販売業者を支援することにつながります。
森林資源の有効活用を促進し、地域経済の活性化にも貢献できるでしょう。
燃焼方式のメリットデメリット
非触媒燃焼方式
シンプルな構造でメンテナンスが容易、かつ高温燃焼による力強い暖かさが魅力です。
薪の投入量を増やせるため、広めの空間を暖めるのに適しています。
一方、触媒燃焼方式に比べ燃焼効率がやや劣り、薪の消費量が多くなる傾向があります。
また、高温燃焼のため、適切な距離を保たないと火傷の危険性などがあります。
触媒燃焼方式
触媒燃焼方式は、低温域から高温域まで安定した燃焼を促す触媒を使用するため、燃焼効率が高く、薪の消費を抑えられます。
また、排気ガスもクリーンで環境に優しいのが特徴です。
一方、触媒の定期的な交換が必要となり、メンテナンスコストがかかります。
また、高温燃焼に比べると暖房能力はやや劣る場合があり、広い空間を暖めるには不向きかもしれません。
輻射式薪ストーブ
遠赤外線による柔らかな暖かさが特徴で、まるで太陽の光を浴びているような心地よさを感じられます。
また、ストーブ本体が熱源となるため、部屋全体をじんわりと暖め、長時間持続する暖かさを提供します。
一方、部屋全体が暖まるまでに時間がかかることや、ストーブ周辺が高温になるため、設置場所や安全対策に注意が必要です。
対流式薪ストーブ
温風を循環させることで部屋全体を効率的に暖め、比較的短時間で快適な空間を作り出します。
ほかのストーブと比べ本体に触れても、多少やけどの心配が減るため、小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使用できます。
一方、輻射式に比べると、ストーブから離れた場所では暖かさを感じにくく、設置場所によっては風の通り道を作るなどの工夫が必要になる場合もあります。
クッキングストーブ
暖房と調理を一台でこなせる多機能性が魅力です。オーブン料理や煮込み料理など、じっくり火を通す料理を得意とし、薪火ならではの風味も楽しめます。
災害時にも役立つ頼もしい存在です。一方、設置スペースや初期費用が高額になりがちで、調理中はストーブ周辺が高温になるため、注意が必要です。
また、料理でストーブが汚れると、メンテナンスの手間も考慮する必要があります。
薪ストーブを選ぶ際には、設置場所、使用目的、予算などを考慮し、最適な燃焼方式のものを選ぶことが重要です。
温度や湿度、薪の状態により着火スピードや燃焼状況が変わるので、神経質になります。
締めくくり
薪ストーブの導入、それは暖かさだけでなく、ご近所との温かい繋がりをも生み出すかもしれません。
私の経験が、あなたの薪ストーブライフの第一歩を後押しできれば幸いです。
私は、薪ストーブの購入前に、8軒ほどのご近所の方に菓子折りを持っていき、ご挨拶をすると、皆さん「まあ良いんじゃない」と仰いましたが、家3軒隣のほうが、良い返事ではなかったのです。
その後、ストーブのカタログをその方の家に持っていき説明をしても、怪訝そうな顔をしておられましたが、6回目の訪問で、「まああなたの家だしストーブを付けても問題はないと思うけど、火の始末や、火事にはくれぐれも注意してくれ」と念を押されました。
設置後、初めの数週間は夜遅くに薪ストーブに火を点けていましたが、たまたまご近所の方から「何も臭いしないけど、薪ストーブ使ってるの?」と聞かれた時は内心ほっとしました。
着火時と火が安定するまで何十回もその時の状況をノートに書き、速やかに火が付くように学んでから、少しずつ薪ストーブを使用する時間を長くしていきました。
現在では、私の家と6軒隣の方の家も、薪ストーブを使用されています。
もし、ご興味がある方は、薪ストーブの他の記事もありますので、お暇な時間があれば見てみてください。