現代の電子機器は、ますます小型化、高機能化が進んでおり、それに伴い(ボタン電池)の重要性が高まっています。
時計やリモコン、体温計、車のスマートキーからウェアラブルデバイスまで、私たちの生活のあらゆる場面でボタン電池が活躍しています。
ボタン電池には多くの種類や型番が存在し、用途や性能もさまざまで、特に(CR2032)はその汎用性と信頼性から、多くの機器で採用されている代表的なモデルです。
本記事では、ボタン電池の基礎知識から代表的な種類、CR2032の特徴や選び方まで、エンジニア視点で徹底解説します。
正しい知識を持つことで、機器のパフォーマンスを最大限に引き出し、トラブルや買い間違いを防ぐことができます。
ボタン、コイン電池の基礎知識と分類と違い
ボタン電池の基本構造や分類について解説します。種類ごとの特徴や用途の違いを理解することで、最適な選択が可能となります。
主な化学成分別分類(リチウム、アルカリ、酸化銀、空気亜鉛)
Q1 – 一次電池と二次電池の違いは何ですか?
A1 – 一次電池は充電不可の使い切りタイプで、リチウム系(例 – CR2032)やアルカリ系(例 – LR44)が主流です。
二次電池は充電可能で、ニッケル水素やリチウムイオン(例 – MLシリーズ)などがあり、一次電池は長期間の軽負荷用途に適し、二次電池は、充電可能で長時間の繰り返し使用する機器向けです。
Q2 – リチウム電池とアルカリ電池の化学的特性の違いは?
A2 – リチウム電池(例 – CRシリーズ)は二酸化マンガンリチウムを正極に使用し、3Vの高電圧と低自己放電(年率約1%)が特徴です。
アルカリ電池(例 – LRシリーズ)は亜鉛-マンガン酸化物で1.5Vと低電圧ですが、経済性に優れます。
リチウムは高温・低温環境でも安定した放電特性を維持します。
Q3 – 酸化銀電池と空気亜鉛電池の用途の違いは?
A3 – 酸化銀電池(例 – SR44)は1.55Vの安定電圧が特徴で、精密機器(例 – カメラ)に適します。
空気亜鉛電池は酸素を活用するため高容量ですが、密閉性が低く補聴器専用です。
酸化銀は小型デバイス、空気亜鉛は連続使用機器向けと用途が分かれます。
Q4 – ボタン電池とコイン電池の形状の違いは?(高さ=厚さ)
A4 – ボタン電池は直径が厚さより大きく(例 – LR44は直径11.6mm/高さ5.4mm)、主に小型電子機器の電源用電池です。(ワイシャツのボタンの大きさ)
コイン電池は厚さが薄く(例 – CR1216は直径12.5mm/高さ1.6mm)、バックアップ電源(例 – マザーボード)に特化しています。形状コードでは「R」が円筒型を指します。
(小銭のような大きさの電池)
Q5 – 空気亜鉛電池の寿命を延ばす方法は?
A5 – 使用前に密封テープを剥がし、空気孔を解放することで活性化します。未使用時は密封状態で保管し、湿度の低い環境(相対湿度60%以下)を維持します。
連続使用せず間隔を空けると、化学反応が持続し寿命が延びます。
Q6 – リチウム電池の自己放電率が低い理由は?
A6 – 有機電解液と高密封構造(例 – シーラント処理)により、年率約1%の低自己放電を実現しており、アルカリ電解液と比べ内部抵抗が低く、高温環境でも安定性が保たれるため、軽負荷用途で長期間の保存が可能です。
1次、2次、ボタン、コイン電池ラインアップ
分類 | 電池の種類 | 主な型番 | 用途例 |
1次電池 | コイン形リチウム | CR2032, CR2025, CR2016, CR2450, CR2477, CR1220, CR1632, CR2430, CR1025, BR1225, BR2325, BR3032 | 3V高電圧・長寿命。キーレス、時計、体温計、電子辞書など |
” | アルカリボタン | LR44, LR41, LR1130, LR43, LR54, LR1120 1.5V | 電卓、玩具、LEDライト、測定機器など |
” | 酸化銀ボタン | SR44, SR41, SR626SW, SR621SW, SR920SW 1.55V | 腕時計、精密機器向け |
” | 空気亜鉛ボタン | PR41, PR44, PR48, PR536 | 補聴器専用、シールを剥がして空気で発電 |
2次電池 | コイン形リチウム(充電式) | コイン形リチウム(充電式) VLシリーズ(バナジウム系)、MLシリーズ(マンガン系)、CTLシリーズ(コバルトチタン系)、MTシリーズ(マンガンチタン系) | 充放電可能、メモリーバックアップ、RTC、ソーラー時計、キーレス、医療機器等 |
代表的な1次ボタン、コイン電池
型番 | 電池の種類 | 公称電圧 | 主な用途、代表例 |
CR2032 | リチウム | 3V | キーレス、体温計、玩具等他 |
CR2025 | リチウム | 3V | キーレス、リモコン等 |
CR2016 | リチウム | 3V | 電卓、時計等 |
LR44 | アルカリ | 1.5V | 電卓、玩具、LEDライト |
SR44 | 酸化銀 1.55V | 1.55V | 腕時計、精密機器 |
PR44 | 空気亜鉛 | 1.4V | 補聴器 |
代表的な2次ボタン、コイン電池
型番(シリーズ) | 電池の種類、特徴 | 公称電圧 | 主な用途 |
VLシリーズ | バナジウムリチウム系(充電式) | 3V | メモリーバックアップ、医療機器等 |
MLシリーズ | マンガンリチウム系(充電式) | 3V | ドライブレコーダー、PC等 |
CTLシリーズ | コバルトチタンリチウム系(充電式) | 2.3V | ソーラー時計、センサー端末等 |
MTシリーズ | マンガンチタンリチウム系(充電式) | 1.5V | 腕時計等 |

CR2032Hは高出量電池です
代表的なボタン電池の型番と読み方
型番の意味や、よく使われる代表的なボタン電池の型番について解説します。間違えやすいポイントや選び方のコツも紹介します。
型番の構成と読み方(CR2032、LR44など)
Q1 – CR2032の型番の「CR」「20」「32」は何を意味しますか?
A1 – (CR)は二酸化マンガンリチウム電池を指し、(20)は直径20mm、(32)は高さ3.2mmを示します。
同様に、LR44なら(L)はアルカリ、(R)は円筒型、LR44は直径11.6mm/高さ5.4mmです。
数字が4桁の場合は前2桁が直径、後2桁が高さを表します。
Q2 – CR2025とCR2032は互換性がありますか?
A2 – 直径は同じ20mmですが、高さが異なります(CR2025は高さ2.5mm、CR2032は高さ3.2mm)。薄型のCR2025をCR2032対応機器に使用する場合、スペーサーで厚みを調整すれば互換可能です。
逆は物理的に挿入不可のため、厳密な互換性はありません。
Q3 – SR626SWとSR44の違いは何ですか?
A3 – SR626SWは酸化銀電池で、直径6.8mm/高さ2.6mmと小型で、SR44は直径11.6mm/高さ5.4mmで、より高出力。
SR626SWは腕時計等、SR44は電子機器や医療機器等に使用されています。
型番の(SW)は厚さコードで、国際規格とメーカー独自表記の混在に注意が必要です。
Q4 – アルカリボタン電池の型番「LR44」と「AG13」の関係は?
A4 – AG13、G13Aはアルカリ亜鉛マンガン電池の旧称で、LR44と同一規格です。
市場でAG13と表記される場合はLR44を指しますが、酸化銀電池のSR44と混同されるケースがあります。
パッケージの化学記号(L=アルカリ、S=酸化銀)で確認が必要です。
Q5 – 型番間違いを防ぐチェックリストは?
A5 – 以下の3点を確認します:
機器記載の型番と完全一致(例 – CR2032 x CR2025)直径は同じ20㎜ですが、高さが0.7㎜違います。
化学記号の一致(リチウム – CR / アルカリ – LR / 酸化銀 – SRの混在禁止)
寸法測定(通電しないプラスティックノギスで直径/厚さを計測)
Q6 – コイン、ボタン電池の向きはありますか?
A6 – ボタン電池は平面な面で、型番などが印字されている面が+プラス、裏面の段差がある方がマイナスです。
機器にもよりますが、一般的には、電池の交換前に電池の向きを確認し、一般的には+面が上向きに入れる必要があります。
向きを逆にすると通電しないだけではなく、機器のショートや破損のリスクがあるため注意が必要です。

ちょこお、わしの雲キントンのドライブレコーダーの電池を交換したら、焦げるような匂いがするのー?

どの型番の電池ですか?

ML2032からCR2032に交換したんだよ

2次のコイン電池から1次コイン電池を使用したらだめですよ‼
2次コイン電池は充電式のML2032で、1次コイン電池は使い捨てのCR2032だから
電池自体の互換性はないんです。
両方の電池の寸法は全く同じでも、確認しないとダメですよ。

あれだけ確認するように言ったのに‼
どうせケチったんでしょう。

型番の違う電池を入れたので、ドラレコが損傷していて、ドラレコを新品に買い替える必要があります。

数百円ケチって数万円の出費て、アワワ

古い電池は、両面をテープで保護して所定のリサイクルに出しましょう
スマートキーで良く使用されているCR 2032の特徴とスペックを解説
CR2032リチウム電池の技術的な特徴やスペック、他モデルとの違いについて詳しく解説します。
長寿命、高安定性の理由
Q1 – CR2032の標準容量と放電特性は?
A1 – 公称容量は220mAh(標準放電電流0.2mA)で、-20~85℃の環境で安定動作します。
放電末期まで電圧降下が少なく、パルス放電試験(10mA/350msec)では2.0V以上を維持し、低温環境でも内部抵抗が低く、電圧安定性に優れます。
Q2 – CR2032HやCR2032Sとの仕様の違いは?
A2 – CR2032Hは容量240mAhと一般型より高容量、CR2032Sは250mAhで高パルス性能で、通信機器向けに放電特性を強化(動作時間11%向上)
寸法は同一(直径20mm/高さ3.2mm)ですが、CR2032Sは重量2.8gと他の2個の電池よりも0.2gも軽量化されています。
Q3 – 他モデル(CR2025/CR2016)との互換性は?
A3 – 直径は共通20mmですが、厚さが異なります(CR2025=2.5mm、CR2016=1.6mm)高さ不足分をスペーサー等で高さを補えば緊急互換可能ですが、容量差 (CR2025 – 170mAh、CR2016 – 90mAh)により駆動時間が短縮されます。
Q4 – 長寿命・高安定性の理由は?
A4 – 二酸化マンガンリチウムは、有機電解液の採用により、年率約1%の低自己放電を実現してます。
密封構造とシーラント処理で湿気侵入を防ぎ、高温環境でも漏液リスクが低減され、軽負荷放電時は10年以上の保存可能です。
Q5 – アルカリ電池(LR44)との性能比較は?
A5 – CR2032は3Vで、LR44は1.5Vなので、LR44より高電圧、容量もLR44の約150mAhに対しCR2032は、220mAhと電気性能で優位です。
ボタン電池のLR44(-10~60℃)は経済性に優れますが、リチウムコイン電池CR2032の温度耐性は、( -20~85℃ )と保存、温度に対する活動範囲が広く圧倒的に優れます。
Q6 – マクセルCR2032の耐漏液技術の特徴は?
A6 – 有機電解液と封口構造の最適化により、アルカリ電池比で漏液リスクを低減し、電解液の高導電性と密封技術(シーラント処理)を組み合わせ、衝撃や温度変化による内部短絡を防止します。

LR44アルカリボタン電池
ボタン電池の選び方と注意点
用途に合ったボタン電池の選び方や、買い間違いを防ぐためのポイントを解説します。
互換性の注意点
Q1 – 車のスマートキーでよく使われている電池は?
A1 – CR2032Hがスマートキーで良く使用されています。
3Vの高電圧で長距離通信を安定駆動し、-20℃環境でも動作します。
一部の最新の車のスマートキーはCR2450を使用している車もあり、直径24.5mm、高さ5.0mm、600-620mAhの高容量で、使用温度範囲も-30~85度で、CR2032の約3倍近い高容量です。
メーカー推奨の電池の型番を確認し、メジャーなメーカーの電池を使用し電池の信頼性を確保すればより安定した生活が送れるでしょう。
Q2 – 補聴器用電池の選定ポイントは?
A2 – 空気亜鉛電池(例 – PRシリーズ)が使用されてます。
燃料電池の一種で、空気電池として呼ばれ、酸素活用で高容量を実現し、連続使用に耐える特性があります。
一度はがしたシールを再度電池に貼りなおして保存する事はできません。
密閉型補聴器の場合は耐湿性を確認しましょう。
Q3 – 互換性チェックで見落としがちな点は?
A3 – 以下の3点を厳密確認
電圧 – 3V機器に1.5V電池を挿入すると動作不または機器損傷になることも有ります。
極性 – プラス/マイナスの電池の面、位置が逆だと機械損傷の可能性があります。
厚さ – 0.5mmの差でも接触不良を起こします。
Q4 – 100円ショップのボタン電池の信頼性は?
A4 – メーカー不明品は容量不足や漏液リスクが高く、精密機器には非推奨です。
信頼性が必要な場合はJIS規格品(例 – マクセル、パナソニック、デュラセル)等のメーカーを選択するとトラブル回避になります。
価格差は電池の寿命と安全性で埋め合せ可能になるでしょう。
Q5 – 電子体温計向けの電池選びの注意点は?
A5 – 機種にもよりますが、測定誤差を防ぐため、上記のようなメジャーなメーカーの安定性が高い電池を選ぶ事が必須です。
緊急の場合に電池が液漏れして電子体温計が使用できず、電池交換しても接点不良で体温計を使用出来ないことも有るので注意が必要です。
Q6 – 型番違いでもサイズ同じだから使える?
A6 – 直径、高さ(厚み)電圧が同じなら電気的につながる可能性はありますが、電池の種類(化学系)や電圧・端子構造が違う場合、機器に損傷を与えることがあります。
特に電子機器、医療機器、高価格な機器等は、メーカー推奨で保証された電池を使いましょう。
ボタン電池、コイン電池の安全な使用法と廃棄・保管のベストプラクティス
誤飲事故や液漏れなど、ボタン電池、コイン電池にまつわるリスクとその対策について解説します。
子供やペットの誤飲対策、保管条件、リサイクル、廃棄方法は?
Q1 – 子供やペットが電池を誤飲したら…?
A1 – ボタン電池を誤飲すると数時間で重大な化学火傷を起こす可能性があり、誤飲した場合は大事に至る前に即救急車を呼び、病院に行き治療を受ける必要があります。
ペットの場合も同じで、急いでペットを病院に連れていき治療を受けましょう。
電池をケースに入れたり、子供やペットの手に届かない場所での保管が重要で、交換した電池は速やかに処分するか、子供やペットの手に届かない場所に移動しましょう。
Q2 – 保管の温度や湿度の最適条件は?
A2 – 直射日光を避け、5〜30℃程で、相対湿度30〜60%の室内が望ましく、高温は自己放電・液漏れのリスクを高め、低温で特性が落ちるため、安定環境での保存が推奨されます。
電池のプラス極とマイナス極が、直接金属製品(鍵、硬貨)との接触をしないように絶縁されている事を確認し保管してください。
Q3 – 開封後はどう扱う?
A3 – 開封後はできるだけ早く電池の交換をする事が安全で安心です。
パッケージから電池を出しても、電池が未使用なら元のパッケージに戻し、他の金属と接触しないよう保管しましょう。
端子がむき出しだとショートや放電リスクがあります。
Q4 – 使用済み電池の廃棄時の注意点は?
A4 – 電池の絶縁処理(テープ巻く)後、自治体の小型電池回収箱へ投入し、リチウム電池は焼却処分すると、高温で発火するリスクがあるため、一般ごみと混ぜず必ず分別が必須です。
各電池の回収拠点は自治体のウェブサイト、お住いの近くの家電量販店で確認しましょう。
Q5 – 電池の液漏れが起きたら清掃方法は?
A5 – 漏れた電解液は強アルカリ性が多く、ゴム手袋・マスク着用の上、乾いた布で拭き取ります。
その後、中性洗剤で拭くと安全です。皮膚や目に付着した場合は流水で洗い、医療機関に相談してください。
Q6 – 長期間使用しない機器の電池の処理はどうするの?
A6 – 長期間使用しない機器は電池を抜いて電池を絶縁保管しましょう。
半抜き状態(端子接触)で放置すると微量放電が継続し、液漏れの原因になるので、6ヶ月以上使用しない機器は、あらかじめ電池を外すことを推奨します。
締めくくり
ボタン電池は小さな電源ながらも、日常生活の多くの場面で重要な役割を果たしています。
特にCR2032のようなリチウム系のボタン電池は、安定した電圧と長寿命、広範な温度耐性を備えており、パソコンのマザーボードや車のキーフォブなど、正確さと信頼性が求められる場面で活躍しています。
一方で、サイズや容量、化学構造による違いを理解していないと、誤った互換性判断や安全性へのリスクも伴い最悪の場合は、機器を損傷したりケガをしたりします。
ボタン電池の種類や構造、用途ごとの特性、正しい交換と廃棄の方法まで知識を得ることで、安全に、そして無駄なく使用することができます。
本記事では、初めての方でも理解できるよう基礎から応用まで体系的に整理しまし、これを機に、お手持ちの機器に適した電池選びをして、より快適で安心な使用環境を整えてください。