電線の被覆を【スッときれいに剥く】――これができるかどうかで、作業効率も仕上がりの美しさも大きく変わります。
その秘密兵器がワイヤーストリッパーです。
ペンチやニッパーでも皮むきはできますが、きれいに芯線を傷つけず剥くにはワイヤーストリッパーが断然便利で、使用したことが無い方はストリッパーの穴のサイズはどうやって選ぶの?
どの位置で被覆を剥けばいいの?と迷うもの。
この記事では、初心者の方でもすぐに実践できる正しい電線の皮むき方法を、解り易く解説します。
さらに市販の人気モデルや、作業に役立つちょっとした知識も紹介するので、この記事を読み終わる頃には、すぐに使いこなせるはずです。
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ワイヤーストリッパーとは?基本の仕組みと役割
電線の外側についているビニールの被覆を、芯線を傷つけずに被覆を剥くための工具がワイヤーストリッパーです。ニッパーやペンチ、カッターでも可能ですが、どうしても芯線が切れるリスクがあり、特に初心者の方には不安の残る作業です。ワイヤーストリッパーは電線の太さごとに適合する穴に差し込むだけで、誰でも一定の長さで効率的にむけます。
芯線を守る重要な役割
Q – 1 ワイヤーストリッパーはどんな場面で必要ですか?
A – 1 ワイヤーストリッパーは、電線の外側にある絶縁被覆を剥がし、中の導体(芯線)を露出させるための工具です。
車やバイクのアクセサリーの配線や照明やコンセントの取り付け、スイッチ配線、DIYの電子工作など、多くの電気配線作業で必須となります。
ペンチやカッターで被覆を剥くことはできますが、芯線を傷つけたり長さが不揃いになったりしやすいため、正確性と安全性を両立させるならワイヤーストリッパーが最適です。
電気工事や電子工作、自動車の電装品取り付けなど、電線を扱うあらゆる場面で活躍する必須のツールです
Q – 2 ペンチやカッターと比べて、何が違うのでしょうか?
A – 2 ニッパーやペンチ、カッターナイフは切断や、つかむ、切る作業は便利ですが、電線の被覆を均一に剥くには、スキルが必要です。
刃を強く押し込みすぎると芯線を傷つけ、接触不良や断線の原因になり、ワイヤーストリッパーは、電線径ごとに専用の穴があり、適切に被覆だけをカットできるよう設計されており、誰が作業しても同じ仕上がりになります。
Q – 3 ワイヤーストリッパーの基本構造はどうなっていますか?
A – 3 ペンチ型のワイヤーストリッパーは、ハサミのような2枚の刃先に(半丸穴)が加工されており、その穴部分に電線を入れ、握ることで被覆だけをカットします。
多くの製品には異なる線径に対応した複数の穴が並んでおり、目的の電線サイズに合わせて使えます。
さらにグリップにはスリット加工や滑り止め加工が施されているものもあり、作業のしやすさが向上します。
Q – 4 芯線を傷つけない仕組みはどう働くのですか?
A – 4 ワイヤーストリッパーの刃は、導体まで切り込まない設計になっており、被覆の厚さと電線サイズを考慮し加工されています。
適合サイズの穴を選べば、刃が被覆だけを切り込み、芯線を傷つけずに被覆だけを引き抜くことができます。
これにより、導体の傷や断線を防ぎ、綺麗な芯線の仕上がりを確保できます。
Q – 5 ワイヤーストリッパーはどんな電線に対応できますか?
A – 5 多くの一般的なワイヤーストリッパーは、単線やより線に対応できます。
対応範囲は製品によって異なりますが、例えばAWG20(約0.5mm²)からAWG10(約5.5mm²)程まで幅広く扱えるモデルが多いです。
電子工作用では極細線専用の精密ストリッパーもあり、電気工事用とは区別して使うケースが一般的です。
この商品と似たような製品も沢山販売されています。(刃物で指をケガしないように注意しましょう)
下方に電線のサイズ表があります。
Q – 6 初心者でも使いこなせますか?
A – 6 初心者でも安心して使えるのがワイヤーストリッパーの特徴です。
電線のサイズと穴のサイズに合わせて差し込み、軽く握ってストリッパーを引き抜くだけで被覆が剥けます。
慣れないうちは練習用のケーブルで試し、芯線を傷つけていないか確認するとよいでしょう。
慣れることで、DIYや日常の配線作業に自信を持って取り組めます。
Q – 7 【被覆と芯線】は、具体的にどの部分を指しますか?
A – 7 電線は、主に電気を流す銅色をしたものが芯線(しんせん)と、それを保護し感電を防ぐ外被、被覆(ひふく)」の二重構造になっています。
芯線は、銅やアルミなどの導電性の高い金属でできており、電気が実際に通る中心部分です。
一本の太い金属線の単線と、多数の細い金属線を束ねたより線があります。
被覆は、その芯線の周りを覆っているビニールやポリエチレンなどの絶縁体のことで、一般的に電線の被覆と呼ばれている部分です。
ワイヤーストリッパーは、この外側の被覆だけをきれいに取り除くための道具です。
Q – 8 プロの電気工事士もワイヤーストリッパーを使っているのですか?
A – 8 はい、もちろんです。
プロの電気工事士にとって、ワイヤーストリッパーは使用頻度の高い基本工具の一つです。
プロの現場では、作業の正確性、スピード、そして何よりも安全性が厳しく求められる為に、ワイヤーストリッパーは、これらの要求をすべて満たすための最適なツールです。
住宅やテナントの配線や盤内の結線やなど、数多くの電線を扱う現場では、手作業での皮むきは非効率的です。
多くのプロは、作業内容に応じて複数の種類のワイヤーストリッパー(オートタイプ、手動タイプ、VVFケーブル専用など)を使い分けて、高品質な施工を実現しています。
一人の電工がVVFのストリッパー数個を持っていることも珍しくはありません。
電線の剥け方を追求するが故、VVFのサイズ別ごとに切れ刃を微調整し、幾つものストリッパーを所有する電工もいます。
電線のサイズの一覧表
より線断面積(mm²) | 単線直径(mm) | AWG |
0.0507 | 0.255 | 30 |
0.0804 | 0.321 | 28 |
0.128 | 0.405 | 26 |
0.205 | 0.511 | 24 |
0.324 | 0.644 | 22 |
0.519 | 0.812 | 20 |
0.823 | 1.024 | 18 |
1.31 | 1.291 | 16 |
2.08 | 1.628 | 14 |
3.31 | 2.053 | 12 |
5..26 | 2.588 | 10 |
単線直径は各AWGサイズごとの標準値です。
撚り線断面積(mm²)は、代表的なIV、KIV、KV腺の公称値です。
この表を参考にすると、細い信号線から電力線まで単線、撚り線のサイズ比較が容易になると思います。
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ワイヤーストリッパーの種類と選び方のポイント
電線サイズに合わないストリッパーを選んでしまうと(うまくむけない ‐ 芯線が切れる)といったトラブルにつながります。そのため、導体の太さ(mm²やAWGで表記)を確認し、対応したレンジを必ずチェックすべきです。
手動型と自動型の違い(ペンチ型、筒型、ピストル型など)
Q – 1 ワイヤーストリッパーにはどんな種類がありますか?
A – 1 大きく分けると、ペンチ型(調整なし、調整式)、筒型(調整なし、調整式)、ピストル型(調整なし、調整式)などがあり、手動式とオートマチック式があります。
ペンチ型と筒型の手動式は電線のサイズとストリッパーの穴サイズを一致させ、剥きたい芯線の長さに被覆の位置を穴に決め、ハンドルを握りストリッパーを移動し皮を剥きます。
オートマチック式のワイヤーストリッパーは、剥きたい長さに合わせて電線被覆を刃にセットし、ハンドルを握るだけで、電線の太さに関係なく、自動で被覆をきれいに剥いてくれます。
作業者の好みにもよりますが、オートマチックは、大量な電線の皮剥きの処理に向きます。
ワイヤーストリッパーは、電線の種類と用途によって選ぶのが基本です。
1機種のストリッパーで、何でも使えるオールマイティーの工具ではありません。
Q – 2 DIYにおすすめなのはどのタイプですか?
A – 2 低電力の配線なら手動の安価な多機能ストリッパーで十分ですが、贅沢を言うとオートマチィクのストリッパーを揃えると不安要素が減るでしょう。
ワイヤーストリッパーにペンチやカッター機能が付いたワイヤーストリッパーのモデルもあり、一本で切断も被覆むきも可能です。
電子工作が目的なら、さらに細い線に対応できる精密仕様が便利です。
Q – 3 電線サイズに合わないストリッパーを使ったらどうなりますか?
A – 3 サイズが合わないストリッパーを使うと、芯線を損傷、又は切断、被覆が残ってしまい不完全に剥けるなどの失敗につながります。
導体径を確認せずに作業すると事故リスクも高まるため、説明書や刻印された対応レンジを必ず確認すべきです。
Q – 4 価格帯での違いはありますか?
A – 4 はい、メーカーや使われている材質によって値段が変わります。
低価格帯でも十分に使用できる物もありますが、耐久性がやや劣るようですが、軽作業なら十分しよう。(使い方によって切れや寿命は左右されます)
中価格帯では握りやすいグリップ、刃物の耐久性があり作業が快適です。
高価格帯は自動調整や高耐久素材を採用し、毎日の現場でも安心して長い年月使えます。
(切れ刃の交換が出来るストリッパーもあります)
Q – 5 初心者が失敗しにくいモデルは?
A – 5 オートマチック式や被覆の長さを、調整ストッパー付きのストリッパーで被覆を剥く長さを揃えられるため、初心者でも失敗が少なくなります。(すべてのストリッパーではありません)
大量処理をする必要がないなら、標準的なストリッパーで十分ですが、的確な長さを求めるならば、調整付が重宝するでしょう。
Q – 6 プロの電気工事士はどの様なワイヤーストリッパーを選んでいるのですか?
A – 6 プロは(耐久性とスピード、効率、切れ味、スペアーパーツなど)を重視します。
オートマチックストリッパーや特定のケーブル専用ストリッパーを選び、作業環境に合わせて数個のワイヤーストリッパー、ケーブルストリッパーを保有しています。
また握力や疲労軽減のために軽量設計や信頼のメーカーを選択する電気工事士が多いです。
Q – 7 電工が使う、主なワイヤーストリッパーのメーカーを教えてください。
A – 7 はい、Lobster、タジマ、マーベル、デンサン、ベッセル、ホーザン、MCC、フジ矢、エンジニア、トラスコ、日本ワイドミューラー、TONE、ケイバ、未来工業、メリー、ツノダ、三共コーポレーション、イチネンTasco、ビクター、Klein toolクライン、クニペックス、等のメーカーがワイヤーストリッパーを製造しています。
基本的な使い方、きれいに電線をむく手順は?
ワイヤーストリッパーを使うときは、まず被覆を剥く長さを決めることが大切です。端子に接続する場合は約5〜10mm、コンセントなら12mm前後で用途によって必要な長さが違います。適切な長さで被覆を剥けると、作業後に余計な修正が不要になります。
適切な穴サイズを選ぶ
Q – 1 被覆を剥く長さはどうやって決めますか?
A – 1 接続する端子や部品の仕様に従うのが基本です。
電気工事でコンセントなどを取り付けする場合は、メーカー指定の長さがあり、コンセントの裏側に推奨の皮剥き長さの指示が有り、多くの配線器具では、12mm前後となります。
小さな端子(0.5~1.5mm²、20~18AWG)なら5〜8mmが一般的です。
一番初めの皮剥きは、定規やストッパーを利用して一定の長さに揃えることが重要で、仕上がりも整い、トラブルも防げます。
Q – 2 ストリッパーに差し込む穴の選び方はどうすればいい?
A – 2 電線の芯線の太さ(AWGまたはmm²単位)を確認し、それに合わせた穴を選びます。
穴が大きすぎると被覆の途中で刃が止まり、被覆を剥く時に皮が剥きにくいです。
電線のサイズに対して、ストリッパーの穴が小さすぎると、撚り線の場合は、数本の芯線が切れてしまい、正規の電線の本数に対して少なくなる為に許容電流まで電気を流すと電線が熱を持ち大変危険です。
単線の場合に刃が芯線に食い込み、電線を軽く揺すると芯線が断線してしまう事が有ります。
Q – 3 被覆を剥くときに力加減はどうすればいい?
A – 3 ハンドルを握り込み、刃を深く押し付けるのではなく、ハンドルを軽く握る程度で十分です。
ストリッパーは被覆を切る専用の刃になっているので、過剰な力は不要です。

僕のLobsterLS55のワイヤーストリッパー見なかった?
古いLS55ストリッパーが有って、新品のストリッパーが見当たらないんだ‼
まだ現場にも持って行ってないし、だれか使ったのかな?

ちょこおの新品のストリッパーでVVFの皮を剥いたら、剥けが悪かったから、取説を読んだら、IVやKIVの単線や小判型の撚り線に使うストリッパーじゃったぞ!
電線の種類によって、ストリッパーを使いわけにゃーいかんと、思わんじゃったの~

仙人、僕がVVF専用のストリッパーを持って行ったじゃないですか?
古臭いから嫌じゃとか言ってましたね。
使わなかったんですか?
あれは、ちょこおが20年以上使っているMCCのストリッパーだけど、新品よりも切れるとちょこおが言ってましたよ。

ちょこおは、工具を調整し、磨きながらニヤニヤしてて怖いよ‼
工具愛が半端ないんだよね❣
職人が選ぶこだわりのワイヤーストリッパーは長持ちするんだね。

電線の被覆が剥けて心線が見えてます
Q – 4 被覆を引き抜く方向に注意点はありますか?
A – 4 電線に対して必ずまっすぐに引き抜くことです。
斜めに引くと被覆が残ったり芯線が刃に当たったり曲がったりし、芯線が傷つくことがあります。軽い力でスッとまっすぐ引くのがポイントで、慣れると非常にきれいな仕上がりになります。
大概の電工は、電線の先端から20㎜位の所を左手で握り、右手でストリッパーを握り、電線の先端から皮を剥きたい所にストリッパーをセットして、左手の親指でストリッパーの顎を押すと楽に皮むきが出来ます。
上記の写真で、左手で電線を押さえ、同時にストリッパーの顎の所を左手の親指で押さえて、電線が滑らないようにしてから、右手でハンドルを握っています。
Q – 5 仕上がりチェックはどう行えばいい?
A – 5 芯線が均一に揃っているか、芯線に傷やカット痕がないかを目で確認します。
端子に差し込んだ際にスムーズに入れば問題ありません。
芯線の途中に半端に剥けたり銅線が毛羽立っている場合は、加工をやり直すべきです。
Q – 6 まとめて剥くことはできますか?
A – 6 一般的なストリッパーは1本ずつ対応ですが、プロ向けのストリッパーは複数本を並行して剥ける製品もあります。
ストリッパーを使い始める場合は、丁寧に作業して、確実な仕上がりを目指すほうが良いです。
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よくある失敗例とその防ぎ方
【芯線を切ってしまった】という失敗です。原因の多くは電線サイズより小さい穴を使ったことによるもので、工具選びと確認の不足が根本です。
剥き長さを揃えるポイント
Q – 1 値段で選んでもいいですか?
A – 1 値段だけで選ぶのは危険です。
安価すぎる製品は刃の精度が低い物が多く、芯線を傷つけやすいため、結果的に不良や事故につながり易い事が有ります。
ストリッパーは、使用頻度が多く数多くのスキルをお持ちの方は、商品の良し悪しで、工具の使い分けや品質の状態を見分ける事が出来るでしょう。
配線は電流の大きさに比例して電線も熱を持つので、工具に安全と信頼性を寄せる事で、良い作業が出来るでしょう。
Q – 2 ワイヤーストリッパーを複数持つ必要はありますか?
A – 2 用途によっては複数必要です。例えばVVFケーブル用と単線用のストリッパーでは構造が異なるため、1本ですべてを賄う事が出来ません。
作業者にもよりますが、同じタイプの電線でもメーカーやロットの違いで、ストリッパーを変える作業者もおり、同じモデルのストリッパーを使い分けている電工も多いです。
Q – 3 芯線が長く残りすぎるケースは?
A – 3 被覆を剥く長さを測らずに感覚で作業するためです。
長い芯線を毎回適正な長さに切れば問題が無いのですが、必要以上に芯線が長いと芯線がむき出しになり、ショートや感電のリスクになります。
ストッパー付きのストリッパーを使用すれば、皮を剥いた後の芯線の長さのバラツキ防止になるでしょう。
Q – 4 芯線が毛羽立つのはなぜですか?
A – 4 よ細いより線のケーブルを剥く時に、芯線が刃に軽くこすってしまい、細い銅線が切れたり、擦れてほつれるためです。(細いより線の電線程、注意が必用です)
解決法は適合サイズをしっかり選び、力を入れすぎない事ですが、それでも改善しない場合は、ストリッパーで被覆を握りその後2ミリほど被覆を剥き、ストリッパーから力を緩めその後、被覆の先端をペンチ型ストリッパー先端のフラットな部分で被覆を引き抜きましょう。
Q – 5 より線の芯線の先端が不揃いになる原因は?
A – 5 撚り電線剥く前に電線の先端の長さを揃えていない場合や、被覆を剥くときにより線に負荷がかかつた時にこのような症状になるので、被覆を長めに剥き、芯線の先端をストリッパーのカッターやニッパー、ペンチなどで既定の長さに切り揃えると綺麗に仕上がります。
Q – 6 工具自体の劣化で失敗することはありますか?
A – 6 はい。刃の摩耗やバネの弱まりで精度が落ち、被覆がうまく剥けない事があります。
長期間使っているならば、注油や清掃、バネ、切れ刃の交換を検討するべきです。
切れ刃の交換が出来る物は、刃の交換を行えば、工具本体を買い直すより、負担が軽減されるでしょう。

細い単線も、3本の太いより線の被覆剥きは、ストリッパーの調整をしていません。
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プロも実践する使い方のコツと応用技
通常の被覆よりも、さらに強い被覆や特殊な材質には、軽く回転させながら剥く“ねじり(回転)テクニック”を応用することもあります。これは芯線を傷つけにくくする技で、熟練者が多用する方法です。
芯線を傷つけない回転テクニック
Q – 1 プロはどうやって作業効率を上げていますか?
A – 1 電線をまとめて均等に揃え、同じ長さになる様にまとめて一度で処理します。
また作業に合わせて事前に電線に印をつける事で、効率を向上させるポイントとなります。
Q – 2 スピーカーケーブルのような2本がくっついた平行線を、同時に同じ長さで剥く方法はありますか?
A – 2 はい、可能ですが、多くのオートマチック式のピストルタイプのストリッパーは、2本の線を同時に挟んで一気に剥くことができます。(*上記の写真は3本の電線を一気に剥きました)
コツは、2本の線の先端を指でしっかり揃え、ストリッパーの刃の中央にまっすぐセットし、ハンドルを握ります。
通常のペンチタイプのストリッパーの場合は、1本ずつ作業する方が確実で、線の∞中央の接続部分をカッターナイフで1〜2cmほど裂いておき、2本の線を少し広げ必要な長さに割り、それぞれの線の被覆をワイヤーストリッパーを使い被覆を剥きましょうましょう。
Q – 3 芯線を傷つけないための工夫は?
A – 3 ストリッパーを握る力を抑えて、必要に応じて軽く回す“回転剥き”をするプロもいます。
これは固い被覆に有効で、芯線を守りつつきれいに被覆が剥けます。
ペンチ型ストリッパーで被覆を軽く握り、ストリッパーの電線を中心にして上方向に45度、それから下方向に90度程上下し、上下に2から3回程繰り返し、ストリッパーを電線から外し、被覆をストリッパーの先端の平たい所で挟み抜きましょう。
古い電線や特殊な被覆の電線でこのようなテクニックが役に立ちます。
電線の芯線に損傷が有る場合は、被覆を剥き直した方が安全です。
Q – 4 電線の種類別の注意点は?
A – 4 単線は比較的剥きやすいですが、より線は毛羽立ちやすいため慎重さが必要です。
ビニール系と架橋ポリエチレン系、フッ素系、ポリウレタン系の被覆の固さが違うので、被覆の剥きやすさが異なります。
安全に作業を行う為には、工具の選択と切れ刃の鋭さが重要です。
多芯線のシース(外装)の(シースの皮むきは、ペンチ型やピストル型のストリッパーでは行えません)
シースの皮むきはVesselのケーブルストリッパーが有効です。Φ4~16㎜、Φ8~28㎜有効、)
ケーブルストリッパー、ロブテックス、マーベル、太洋電機産業、Knipex、デンサン、などです。
Q – 5 被覆を引き抜くとき、とても硬い時があるのですが、どうすれば良いですか?
A – 5 被覆が硬くて引き抜きにくい場合、いくつかの原因が考えられます。
刃のサイズが電線に対して大きすぎて、被覆が完全に切れていない可能性があり、その場合は、一つ小さいサイズの刃で試してみてください。
次に、刃の切れ味が落ちている場合で、この場合は刃の交換やストリッパー本体の買い替えが必要です。
古い電線や低温環境下では被覆が硬化して抜けにくくなることがあり、一度で被覆を引き抜こうとせず、ストリッパーで被覆を掴んだまま、工具自体を電線の軸周りに90度程回転を行き来させてみてください。
切れ込みが全周にしっかりと入り、抜きやすくなることがあります。
Q – 6 ワイヤーストリッパーの切れ味を長持ちさせるための、具体的なメンテナンス方法を教えてください。
A – 6 作業後は、刃の周りに付着した被覆のカスを、ブラシやエアダスターを使ってきれいに取り除きましょう。
カスが残っていると、刃の動きを妨げたり、錆の原因になったりします。
可動部(刃の噛み合わせ部分やハンドルの軸など)に、潤滑油を少量吹き付け、余分な油を布で拭き取りましょう。
これを数回に一度行うだけで、動きがスムーズになり、錆の発生を防げます。
保管する際は、湿気の少ない工具箱などに入れ、刃が他の工具とぶつからない様にし保管しましょう。
こうした少しの手間が、工具の寿命を大きく延ばしてくれます。
圧着ペンチ 電気配線でおすすめの圧着ペンチ

お気に入りはの工具は、スペアーを買い足すようにしています。
締めくくり
電気工事やDIYでの配線作業は【ちょっとした工具の選択】が作業完了の仕上げりの結果を大きく変えます。
ワイヤーストリッパーはその最たる例で、ペンチやカッターで代用する人もいますが、仕上がりの差は歴然です。
正しい道具と方法を知ることで、芯線を傷つけず、必要な長さを均一に剥けるようになり、作業の効率と完成度が飛躍的に向上します。
本記事では種類や選び方から、よくある失敗例と解決法、安全な使い方まで具体的に解説しました。
読者の方は今日からでも実践できる知識を身につけたはずです。
電気に関わる作業は、失敗が事故や故障につながる可能性もあるため、一つひとつ丁寧に向き合う姿勢が大切です。
ワイヤーストリッパーの力を使い、安全で、美しく、効率的な配線作業を実現していくと楽で楽しい作業が出来るでしょう。